最高の人生を見つける大人の学び方とは―エウダイモニアの達成-

らいふ

30代の方の最大の悩みといえばキャリア・人生についてではないでしょうか。

「このまま今の仕事をしていていいのか」

「転職をするならこれ以上年齢を重ねると厳しくなるな」

そんな思いが毎日頭をよぎっては消える。

とはいえ、今の仕事に大きな不満もなく、過去の自分の努力や選択が「いま」につながっていると考えると小さな誇りも感じる。

でも、何か大きな決断をしないといけないのではないかという焦燥感だけが独り歩きする日々。

何を隠そうぼくもそのように感じている一人。

そんなぼくらに心強いアドバイスをくれる一冊を紹介します。

ぜひ最後までご覧いただき、一度本書を手に取り熟読することをおすすめします。

「大人の学び方大全」

この記事は宮崎伸治氏の「大人の学び方大全」(2021年12月)の内容をぼくなりに要約し、強く印象に残った点にフォーカスしています。

著者:宮崎伸治氏について

青山学院大学を卒業後、大学職員、英会話講師を経て出版翻訳家・執筆家。英シェフィールド大学大学院、金沢工業大学、英ロンドン大学、日本大学などで学び、語学系の資格133種を取得している。ライフワークは英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、中国語の原書を読むこと。

―あなたはいま、無我夢中で取り組める何かを持っているだろうか。

本書はこの一文からはじまる。続けて、「心底好きで好きでたまらなくて、寝食を忘れるほど熱中するものがあるか」と読者に問います。

好きで熱中するもの、つまり情熱を燃やせるものは「自分が“価値のあること”と認めること」なので、取り組む過程でモノトーンな世の中に彩りをもたらし、自分の人生を力強く生きていけると筆者はいいます。

僕がこの本で一番印象に残った一文です。とても情景的で美しく感銘を受けました。

仕事や家庭で求められる役割もたくさんある30代の多くは、日々に追われることで、そういった人生の本質を見失いがちになります。

ですが、大丈夫。この本では、毎日を彩るための方法も詳しく述べられていました。

人生の目的「エウダイモニア」とは

筆者は大学および大学院で言語学、経済学、哲学、法学、商学、神学などを学び複眼的に人間の幸せについて真理を追究し続け、ある答えにたどり着いたと言います。

それがギリシャの哲学者・アリストテレスの言う「エウダイモニア」

「エウダイモニア」を翻訳すると人生の究極目的であり、人生最高の幸せである。

では「エウダイモニア」とは具体的に一体何なのか。

“人間のすべての優れた特性と価値ある活動が十分にその進化を発揮するような人生”

つまり、自分の持ち味を最大限は発揮し、それを通して世の中の人に喜んでもらう。これこそが「エウダイモニア」であり、人生最高の幸せだと筆者は述べます。

最高の幸せを見つける4ステップ

「エウダイモニア」達成までの道筋は以下のとおり。

  1. 1.安心して生きていける収入を確保する
  2. 2.困難や脅威に対するレジリエンスを養う
  3. 3.困難を通して自分を磨き続ける
  4. 4.自分の持ち味で社会に貢献する

まず、自分の生活基盤を築くことが最優先だと書かれています。

明日の生活もままならない人が社会への貢献など考える余裕はないですよね。

自分が安心して生きていける程度のお金を確保できれば、それ以上は必要なく

余分なお金を稼ぐことにエネルギーを費やすより、自分の才能を開花させることに集中した方が「エウダイモニア」に近づきます。

そして、困難や脅威に打ち勝ち、それらの経験を通し、自己成長する。

自分の持ち味を生かすために「大人の勉強」で己を磨き、社会へ貢献する。

おおまかな道筋は以上のとおりです。少し抽象的なので、次から具体的に述べていきます。

人生の幸福度を高める4つのニーズ

「大人の勉強」の究極目標は生きがいのある人生を目指すこと。

そのために人間の4つニーズについて理解する必要があると筆者は言います。

  • 肉体的ニーズ・・・衣食住、お金、健康などの必要不可欠な要素
  • 社会的ニーズ・・・家族、友人、社会活動などの豊かな人間関係
  • 知的ニーズ・・・学び、成長、経験などの自己実現的な欲求
  • 精神的ニーズ・・・目的、生きがい、社会貢献など

(スティーブン・R・コヴィー博士「7つの習慣」より)

コヴィー博士は一つでも満たされていないニーズがあると、心から満たされることがなく、

人間は無意識レベルで4つのニーズを感じ取り、相互に作用していると言います。

4つのニーズは「限界質量(ある結果を得るために必要な量)」に到達すると、自然燃焼する。つまり相乗効果の爆発により“心の内なる炎”に点火され、情熱・ビジョン・冒険心が生まれる。

このことが自分の使命を果たし、社会へ貢献したいという人生の究極目的につながるようです。

では、具体的にどうすればよいのか、次で述べていきます。

“心の内なる炎”へ点火する具体的な方法

この章では自分自身多くの気づきがありました。

  • 自分の現在地をありのままに受け止める
  • 不遇を他人のせいにしない
  • 自分を客観視する
  • 人生を自分の手で動かすと確信する
  • 自分で変えられることにエネルギーを使う

具体的な方法としては、4つのニーズを大きく育てそれぞれが影響し合うことで相乗効果を大きくすることだと述べる。

肉体的ニーズ

食事、運動、睡眠を整え健やかな肉体を維持する。倹約、勤勉、貯蓄、投資で健全な経済状態を作る。試験などの適度な良い緊張感(ストレス)により成長できる。

著者の心がけ

  • 1日8時間睡眠と1日1万歩(免疫力を高める良質な睡眠・適度な運動)
  • ストレッチと自然に触れる意識(習慣化によるストレス軽減)
  • 資格試験や発表大会(自分を磨く学びや良い緊張で毎日に刺激を得る)
  • マネーツリーを育てる(投資による配当や不動産収入、権利収入、印税など)
  • 学びに集中できる工夫(集中できる場所、手帳など持ち物にこだわる、香りや照明など)

社会的・情緒的ニーズ

「すべての悩みは、対人関係の課題である」心理学者アルフレッド・アドラー

人生の大半の悩みを緩和してくれる学問が人文科学系科目であると筆者は言います。

哲学・心理学・神学・文学などの学問を学ぶことで人間関係が良好となり、生きやすくなる、人生において新たな視点を与えてくれる。

そして、環境が人を作るという言葉があるように、「心の内なる炎」を点火したいのなら、同じ志を負った集団に属するのも効果的で、知らないうちに周囲から良い刺激を受け、“薫化”されることがあると筆者は言う。

―「薫化」・・・徳によって人をよい方に導くこと(コトバンク)

他人との衝突を避けるヒントが、聖書にも記されている。

「言葉が多ければ咎を免れない、自分の唇を制する者は知恵がある。」(旧約聖書)

この章の最後に筆者はこう記している。

「言葉を慎もう。謹んで損することなどない。汚い言葉は自分から発さない」と。

知的ニーズ

「『学び』こそ最高のエンターテインメント」 勉強しないほうがもったいない!

やる気さえあれ学問は年齢に関係なくできる、そして特定の学問分野を系統立てて学べる大学・大学院がおすすめだと筆者は言う。

いくつもの大学に通い、学士、修士を取得してきた宮崎氏だから説得力がある。

この点は、自分も現在非常に興味をもっている事柄であり、社会人のリカレント教育の話題が多い中、ホットなニュースでもある。

通信教育課程を準備する大学も多く、海外の大学でも映像授業により遠隔で受講が可能となり、現代科学の恩恵で渡航費など関係なく学ぶことができる。

思ったより門徒は広い。これは使わない手はない。

「大人の勉強」の重要な側面の一つが知性を磨くこと。

そのための方法の一つが名著を読むことだと、筆者はいう。

さらに名著の名文を書き写すことで、書いた内容が脳に深く焼き付くからおすすめとのこと。

英語の学習について

筆者は、外国語がわかるとモノクロの世界が鮮やかに変貌すると伝えている。

これに関連して、僕の中でかなりエキサイトした一文がある。

―洋書を読む魅力とは、白黒だった映画をカラーでも見られるようになること。しかも見られる映画の数も数十倍に膨れ上がるようなもの。

翻訳だとどうしても訳しきれないニュアンスが削げ落ちるらしい。

多くの英語学習者を見てきた宮崎氏がおすすめする英語学習方法論が以下である。

「受信能力強化論」

つまり、リーディングとリスニングに重きを置くということ。

この2つの能力は独学で磨くことができ、上達すればするほど愉しみが増える。

リーディングに関しては、英語の書籍の方が日本語の書籍よりも何倍も多く、ネット上の情報も英語が大半である。

リスニングに関しては、海外の壮大な映画・動画が翻訳なしで見ることができる。

もう少し具体的な英語学習の心構えも述べられているが、こちらはまた別の機会に。

精神的ニーズ

精神的ニーズを満たすためには、まずは稼ぐための仕事の中に生きがいの種をみつけようと筆者は言います。

強い興味関心が惹かれるものとぼくは理解しました。

「人に喜んでもらう」

この気持ちが課題や問題を見つけ、社会への貢献につながります。

ではこの気持ちはどうしたら生まれるのか。
筆者は古今東西の様々な名著を読み、多くの思想や言葉に触れることが有効な手段になりうると伝えます。

読書や勉学を通して、自らの力でインスピレーションを得る努力を行うことで、生きがいのある人生「エウダイモニア」の達成が近づくと考える。

おわりに

ぼく自身、今年に入り、英語の学習を本格化させ、最近の自分の中にあるテーマでもある社会人大学についても触れられており、非常に背中を押してくれた一冊でした。

大人の学び方について、学びの本質から人生の最大幸福を目指した取り組み方を、多くの名著とともに紹介されています。

目の前のことに対して、ぼんやりと取り組むのではなく、高い解像度を持つことで、新たな気づきを得ることができます。

すると、高い視座で物事を考えることができ、「心の内なる炎」が大きく燃え上がると僕は理解しました。

いまの自分の考えが整理され、間違っていないのだと確信できたことも大きな成果でした。

忙しい毎日のなか、すぐにお金にならない勉学に時間を使うことに対し、もやもやを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そんな方に届けたい。「間違ってないですよ」と。

ぜひ、それぞれの興味関心に従い、励んでいきましょう!

人からとやかく言われても関係ない、それは自分が価値あることだと認めていることだから。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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