教育携わる僕の興味は常に子育てや教育分野です。
なかでも幼児教育や教育経済学などに強い関心があり毎月読む書籍の数冊はこれらの分野になります。
今回は最近読んだ書籍で非常に勉強になったことをシェアしたいなと思います。
子育ては親も子もはじめての連続で、後悔しては勉強して実践のくりかえしですよね。
タイトルのとおり科学的に子育てを考え、教育のゴールはなにかを思考します。
ぜひ最後まで読んでいただければ幸いです。
“将来の幸せ”と“勉強”に因果関係はない
よく大人が子どもに言うセリフにこのようなものがあります。
「今勉強しないと、将来いい学校に行けなくなって、良い会社に入れず、お金も稼げず幸せになれないよ」
突っ込みどころが多い一文ですが、令和のこの時代でも、これに近い言葉を子どもに掛ける親は少なくないのではないでしょうか。
ここまで言わなくても、「勉強と幸せの関係性は疑いようのない事実でしょ」と多くの方は思うかもしれません。
果たして、勉強することと将来幸せになることに因果関係はあるのでしょうか。
この点について、和久田学さんの「科学的に考える子育て」では、明確なエビデンスはないと書かれています。
その前にまず、「幸せ」の定義づけをされています。
著書の中では、「幸せ=健康的・社会的な問題がない」こと、としています。
毎日元気に目が覚めて精神的に健全で、社会から孤立せず活動できていれば、確かに幸せです。
ではそういった“幸せな人”は、良い大学に行って、良い会社に入った人なのでしょうか。
その答えもノーですよね。
良い大学または良い会社にいかずとも、幸せな人も多くいます。(収入の多寡はあまり関係ありません)
では、なにが違うのでしょうか。
そういった社会的に充実して幸せな毎日を送っている人に共通している点として、昨今いわれている「非認知能力が高い」という特徴があります。
非認知能力とは具体的に、社会情緒的スキルともいわれ、積極性や粘り強さ、リーダーシップなど、学力テストのように数値では表しにくい能力のことをいいます。
OECDの研究でもこの非認知能力の重要性を説くレポートは多数あり、この能力は特に幼児期までに形成されます。
つまり、勉強すると将来の幸せになるというのは以下のように言い換えられます。
勉強ができる人の中には、非認知能力が高い人が多く、幸福度が高い傾向にある
「叱る」は大人の負け
著者は叱る行為は、短期的な効果はあるが、本当の教育にはならないと言っています。
叱ることすべてが悪いというわけではありません。
例えば、危険なこと、明らかに不道徳なことに対しては、親として動物的な怖さを見せて叱る必要はあります。
ただそれ以外で、叱るという行為はあまり必要ないかもしれません。
叱るデメリットには3つの法則があるといいます。
中には、厳しく叱られてよかったという人もいるでしょう。
そんな方は“生存者バイアス”がかかっていないか振り返ってみてください。
ここでいう生存者バイアスとは、厳しく叱られたけど、なんとかつぶれずに生き残った人と言い換えます。
実際、厳しく叱られて、つぶれてしまう子どもの方が多いようです。
では、どうするべきか。
叱らなければならない状況になった時点で親の負けと考えて、そうならないために環境や課題を変える必要があります。
- 子どもがおもちゃを片付けられないのであれば、片付けられるような環境にする。
- 片付けやすいおもちゃ箱や取り出しやすい棚を用意する。
- 途中まで一緒に片付けて、最後は子どもにやらせて達成感を感じさせる。
などなど、親の工夫次第で子どもを叱る機会はぐっと減ります。
さらに親の余裕がない時に叱る行為が増えるので、余裕が持てるように気を付けたいですよね。
「教育・子育て」のゴールは?
教育や子育てのゴールはどこでしょうか。
「思いやりを持つ」「豊かな心」など“こころ”を扱うと目に見えず、成果は計れません。
この著書では、教育・子育てのゴールを「不適切な行動を減らし、適切な行動を増やすこと」としています。
そして、このゴールに向かうためにすべきことが「ほめる」ことです。
- 「すぐに」
- 「明確に」
- 「具体的に」
- 「いろんな方法で」
これらを意識してほめると効果的で、欧米人のようにオーバーリアクション気味だとなお良いそう。
「帰ってきてすぐに手洗いうがいをしているね、すばらしい!」
「良い姿勢で晩ご飯をもりもりたべてるね、お皿がピカピカでパパはうれしい」
など、そんな言葉で毎日を満たしてあげたいですね。
「叱るはすぐに効果があるが副作用が多く、ほめるは遅効性で行動が変わる。つまり本当の教育・子育てはほめて育てる!」
肝に銘じておきたい言葉です。
抑制脳を育てる
子どもがダダをこねて物をなげたり、怒ってモノに当たったりするイメージは容易だと思います。
それは「抑制脳」が育っていないため、ということが分かっていて、言葉で言い表せられないから、もどかしくて、行動で示す。
友達となにか嫌なことがあっても、言葉で分かり合えないから放棄して、手が出てしまう。
こういった問題行動すべてに「言葉」が関係していると考えられています。
よく考えてみれば大人でも意思疎通がはかれず物事が解決しないといらいらしますよね。
しかし、抑制脳が年齢と共に発達しているため、良識のある大人は行動にはでません。
よって発達にとって非常に重要なのが“言葉”なのです。
自分を抑制できる子どもは、この「言葉の発達」が良好です。
では、なにをどうすればよいのか。
本の読み聞かせなどは代表的ですが、一番は言葉のシャワーを浴びせることです。
たくさんたくさん乳幼児期から話しかける、モノの名前を言葉にして聞かせる、気持ちを言葉にして表現する。
言葉と行動、言葉と感情、言葉とモノ・・・
それらをセットにして親自身の言葉で聞かせることに意味があります。
すこし話せるようになれば、自分の気持ちや考えを言葉にしていえるようにサポートしてあげます。
たとえば、「何をして遊ぶ?」
これだけで、なんとなく考えていたことを聞かれたことによって、言葉として表現し、意識します。
「何をして遊んだの?」
問いかけることで、思い出して振り返ります。
このように意思や気持ちは言葉にすると明確になるので、客観視できるようになります。
これは大人も子どもも同じ。
僕は毎日の出来事を簡単な日記で振り返ります。
詳細はこちら。
ふわっと考えていたこと、あのとき何を思って、どう行動したのかを振り返る。
すると新たな気づきもあって、とても意義のある習慣ですので、だまされたと思って試してみてください。
少し話がズレましたが、とにかく言葉を上手に扱えれば、抑制脳が育ち、やりきる力や忍耐力などの非認知能力も養われるというお話でした。
最後に僕もよく視聴しているEducation skill setの参考となる動画を載せておきますね!
まとめ
和久田学氏の著書「科学的に考える子育て」から
- “将来の幸せ”と“勉強”に因果関係はない
- 「叱る」は大人の負け
- 「教育・子育て」のゴールは?
- 抑制脳を育てる
4つの気になるトピックを厳選しました!
このほかにもこの本には子育てにおいて勉強になる内容がたくさん書かれていましたので、気になる方は一度手に取ってみてください。
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